『卒業』(東野圭吾)レビュー|雪のキャンパスに刻まれる“最後の青春ミステリ”
雪の夜に終わるのは、学生生活か、それとも誰かの嘘か。
今回は東野圭吾・加賀恭一郎シリーズの原点『卒業』をレビューします。
大学のサークル仲間、卒業を控えた不安と高揚、そして突然訪れる別れ──。
青春小説としての切なさと、ミステリとしての冷静なロジックが両立していて、
読み終わったあと「この頃にしかなかった感情」がじんわり蘇る一冊です。
この記事では、ネタバレなしで『卒業』の魅力を紹介しつつ、
ClueLogらしく「どんな人に刺さるか」をまとめていきます。
⭐ 総合評価
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📌 各項目評価
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 雰囲気・世界観(雪×キャンパス) | ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ |
| キャラクター(加賀&仲間たち) | ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ |
| ミステリー性・トリック | ⭐️⭐️⭐️⭐️☆ |
| 青春要素・感情の揺れ | ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ |
| 読みやすさ | ⭐️⭐️⭐️⭐️☆ |
📝 レビュー(ネタバレなし)
■ あらすじ(短め)
雪が降りしきる大学キャンパス。
卒業を控えたサークル仲間たちは、それぞれの進路や恋愛に揺れながら、
“最後の遊び”としてカードゲーム「雪月花殺人ゲーム」を始める。
しかし、ほどなくしてメンバーの一人が命を落ちる。
最初は「自殺」と見なされたその出来事は、
やがて仲間たちの記憶と証言のズレによって、別の顔を見せ始める。
学生時代の加賀恭一郎は、友人として、そして一人の“観察者”として、
事件の真相に迫っていく──。
■ 良かったところ
- 雪のキャンパス、卒業目前という「一度しかない季節」の空気感がめちゃくちゃ良い
- 恋愛・友情・将来への不安など、学生特有の感情がリアル
- 後のシリーズとは少し違う、まだ“完成前”の加賀恭一郎が見られるのが楽しい
- 会話やさりげない描写の中に「伏線」が仕込まれていて、 読み返したくなるタイプのミステリ
■ 気になった点
本格ミステリとしては静かめで、アクションや派手な展開はあまりありません。
「ガチガチのトリック合戦」を期待すると、少し物足りなさを感じるかも。
ただ、そのぶん人物ドラマと感情の余韻がしっかり残る作品になっています。
️🔒 ネタバレ
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■ 「雪月花殺人ゲーム」が示していたもの
物語のキーになっているカードゲーム「雪月花殺人ゲーム」は、
ただの余興ではなく、メンバー同士の関係性や感情のずれを象徴する仕掛けになっています。
誰がどのカードを引いたか、そのときどんな反応をしたか──
一見どうでもいいやりとりが、後半でじわじわ効いてきます。
■ サークル内の微妙なバランス
表面上は仲良しグループでも、
実は好意・嫉妬・劣等感が複雑に絡まり合っていたことが徐々に明らかになっていきます。
特に、ある人物への感情の偏りが、
事件の「見え方」に大きく影響していた点が印象的でした。
■ 加賀の立ち位置と“友人としての推理”
この時点の加賀はまだ刑事ではなく、一人の学生であり友人。
だからこそ、「守りたい」「知りたくない」気持ちと、
真実を突き止めようとする冷静さの間で揺れています。
後のシリーズで見る“完成された加賀”とは違う、
少し青さの残る推理・決断が本作ならではの魅力です。
■ 真相が胸に刺さる理由
トリック自体は極端に派手ではありませんが、
真相が明らかになったときに感じるのは、
「誰か一人を責めきれない」タイプの痛みです。
もしあのとき、誰かがもう一歩踏み込んでいれば──
そう思わずにはいられない結末で、読後に静かなやるせなさが残ります。
■ タイトル『卒業』に込められた意味
単なる学業の“卒業”ではなく、
ある感情や関係性からの卒業という意味合いが強く感じられるラスト。
それぞれが自分の罪悪感や後悔を抱えたまま、それでも前に進まざるを得ない──
その姿に、シリーズの出発点としての重みがありました。
🏁 総評
キャンパスミステリとしても、加賀恭一郎シリーズの入口としても、
とてもバランスの良い一冊。
「青春の甘さ」と「取り返しのつかなさ」が同時に描かれていて、
読み終わったあと、ふと自分の学生時代を思い出したくなるタイプの作品です。
評価:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ / 5
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