『火車』(宮部みゆき)レビュー|“消えた女”の真相に震える社会派ミステリの傑作

『火車』(宮部みゆき)レビュー|“消えた女”の真相に震える社会派ミステリの傑作

読後、静かに胸へ重く残るリアル系サスペンス


今回は宮部みゆきの『火車』をレビューします。
作品の雰囲気・読みやすさ・魅力を中心に、ネタバレなしで紹介していきます。


目次

⭐ 総合評価

1つ星2つ星3つ星4つ星5つ星 (1 投票, 平均: 4.00 / 5)
読み込み中...
火車 書影
火車
宮部みゆき / 新潮社
静かに迫る恐怖と圧倒的リアリティが光る名作ミステリ
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📌 各項目評価

項目評価
トリック⭐️⭐️⭐️☆☆
人物描写⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
テンポ⭐️⭐️⭐️⭐️☆
読みやすさ⭐️⭐️⭐️⭐️☆
サプライズ度⭐️⭐️⭐️⭐️☆

📝 レビュー(ネタバレなし)

■ あらすじ(短め)

休職中の刑事・本間は、いとこの婚約者である由香里が突然姿を消したという相談を受ける。 彼女の部屋には、生活の痕跡はあるのに「何かがおかしい」違和感だけが残されていた。 調査が進むほど、由香里の“もう一つの人生”が見えはじめ、本間は彼女が抱えていた深い闇へ近づいていく。

■ 良かったところ

  • “多重債務”という現実的なテーマが物語の恐怖を倍増させる
  • 本間の誠実で静かな調査姿勢が読者に寄り添う
  • 暴力や大げさな展開がないのに、最後まで緊張感が続く

■ 気になった点

社会派要素が強いため、ミステリに「派手なトリック」を求める人にはやや地味に感じるかも。 ただ、その“地味さ”が逆にリアリティを生んでるとも言える作品。


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🔐 ネタバレ感想(クリックで開く)

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由香里は多重債務に追い詰められ、元の人生に戻ることを諦めて別人として生きようとしていた。彼女は他人の名前を借りて新しい生活を始めるが、過去から完全には逃れられず、最終的には「自分という存在」を静かに消す道を選ぶ。本間は彼女の足跡を追う中で、その選択が責められるものではなく、ただ「どうしようもなかった」結果だと痛感する。


🏁 総評

ミステリでありながら、社会問題を真正面から描いた重厚な作品。 犯人探しではなく、“人生が追い詰められていく恐怖”に焦点を当てた物語なので、 心理描写が好きな人には特に刺さる一冊です。
評価:★4.7 / 5


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